遺言・信託
認知症による「財産凍結」のリスク
あなたはこの金額を見て何の数字だかわかりますか?
実はこれ…
認知症による財産凍結の実態
なのです。
2020年時点で、認知症患者は約156兆円の資産を抱えていました。
2030年には230兆円もの財産が凍結されると予測されています。
認知症になると凍結される財産
財産といってもたくさんの種類があります。
認知症になると凍結されてしまうものがあります。
①預貯金(銀行口座)
・普通預金:お金が下せない
・定期預金:解約できない
※本人でも家族でも不可能!!
②不動産(自宅・アパート・土地等)
・不動産を売ることができない
・リフォーム・修繕ができない
・賃貸契約ができない
※不動産所有者が認知症になると家族であっても不可能!!
凍結される理由
正常な判断能力がない=契約行為はできない
本人の財産を守るためです
・オレオレ詐欺、悪質商法、親族による使い込み防止
・正常な判断能力のない状態での契約は取り消すことができる
財産凍結の事例①
お父さんの貯金・年金で生活している夫婦の事例をご紹介します。
お父さんの年金で生活
お父さんが認知症に…
預貯金の凍結
結果…
・お母さんの生活費が足りない…
・お父さんの医療費、介護費が支払えない
財産凍結の事例②
将来施設に入ると思っているお母さんの事例をご紹介します。
将来施設に入って自宅を売却
お母さんが認知症に…
不動産の凍結
結果…
・自宅を売却できず、介護費用が不足
・息子や娘が介護費用を負担する
そもそも認知症とは?
いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために様々な障害が起こる症状のことです。
遺伝や生活習慣に加え、「加齢」は大きな要因の一つと言われています。
記憶障害
物事を覚えられなくなったり、思い出せなくなる
理解・判断力の障害
考えるスピードが遅くなり、家電やATM等が使えなくなる
実行機能障害
計画や段取りを立てて行動ができなくなる
見当識障害
時間や場所、人との関係がわからなくなる
三大認知症
認知症の中でも多い症例をご紹介します。
①アルツハイマー型
脳内にたまった異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され、脳が萎縮してしまう
②脳血管型
脳梗塞や脳出血によって脳細胞に十分な血液が送られずに脳細胞が死んでしまう
③レビー小体型
脳内にたまった特殊なたんぱく質により脳の神経細胞が破壊されてしまう
認知症にならないと思っていませんか?
平成29年度高齢者白書によると、2025年には5人に1人、全体の20%が認知症になるという推計もあります。
認知症の要因は彼にあることから、超高齢社会で暮らす私たち誰もが認知症になりうる、他人事ではないということです。
平均寿命と健康寿命の違い
参照先:内閣府HP
健康寿命とは、日常生活の制限のない期間を指しています。
男性、女性ともに差は約10年となっています。
介護が必要になったら費用はどうするか
参照先:内閣府HP
介護が必要になったら費用はどうするか
介護費用が必要になった場合、費用は「年金等の収入でまかなう」と答えている方が大半を占めています。
では、その年金はどれくらい受給できるかあなたは知っていますか?
参照先:日本年金機構HP
この額を聞いて十分?それとも足りない?
もし認知症になってしまうと預金や不動産は凍結してしまうのでリスクは大きいです。
結局、ご家族からの援助に頼ることになる可能性も高まります。
そこを踏まえると認知症と診断される前に対策をとっておかなければなりません。
介護施設にかかる費用
月額利用料
家賃 | 150,000円(非課税) |
---|---|
管理費 | 35,000円(税込) |
食費 | 54,000円(税込) |
合計 | 239,000円 |
個人別
介護保険 | 21,150円 |
---|---|
医療費 | 5,000円 |
消耗品 | 10,800円 |
通院付き添い | 3,240円 |
雑費 | 5,000円 |
合計 | 45,190円 |
月額総計:284,190円
預貯金や不動産が凍結されると…
・介護、生活に必要な費用は不足する
・不足する費用はご家族(息子・娘)が負担する
といった可能性が高くなります!
「何か起きてから」では遅い!
元気な今のうちに備えましょう!
認知症による財産凍結を防ぐ方法
正常な判断能力がない=契約行為はできない
財産凍結を防ぐには「代わりに契約行為をしてくれる人を決める」ことが有効です。
では、どのように決めていけばよいのでしょうか。
代わりに契約行為をしてくれる人を決める方法
方法として挙げられるのは2点です。
①成年後見
②家族信託(民事信託)
①成年後見とは
財産管理を第三者に任せる方法です。
・認知症などで判断力が亡くなった人を守る
・「成年後見人」が財産管理や契約行為を行う
・「成年後見人」は家庭裁判所が選ぶ
一般的に成年後見人は司法書士や弁護士などの法律の専門家が選ばれることが多く、約7割を占めています。
残りの約3割に関しては親族がなるケースがあります。
②家族信託(民事信託)とは
財産管理を信頼できる家族に託す方法です。
・ご家族の思いを叶えるため
・「信頼できる家族」が財産管理や契約行為を行う
・「家族信託契約」を家族の間で結ぶ
信託の基本は「信じる人に財産を託す」
【信託の起源】
中世ヨーロッパの十字軍と言われています。
十字軍兵士として戦った貴族階級は自分の領地などの全財産を置いて戦地へ向かいます。
妻や子供には財産を管理する権限がありませんでした。
自分に代わって領地からの税金徴収や財産を貸したり売ったりする権限を友人に与えました。
友人が財産を管理し、得られた利益は自分の妻子に渡されたといいます。
成年後見人と家族信託の違い
成年後見人
①開始
認知症になってからでも大丈夫
②終了
認知症が治るまで(亡くなるまで)
③誰がなるか
弁護士や司法書士など法律の専門家
④誰のために
ご本人だけのため
⑤出来ること
本人のための使い方
・介護施設の費用
・バリアフリーのリフォーム
⑥出来ないこと
家族のための使い方
・配偶者の介護施設費用
・相続税対策
・財産の引継ぎ
⑦かかる費用(例)
・基本報酬:2万円/月
・管理財産額:8~10万円/月
→10年が経過したら
累計240万円~720万円
家族信託
①開始
認知症になる前の元気なうちだけ
②終了
自由に決定可能
③誰がなるか
信頼できる家族
④誰のために
ご本人やご家族のため
⑤出来ること
契約の目的通りの使い方
・配偶者の介護施設費用
・財産の引継ぎ方=遺言
・実家の売却
・相続対策(資産活用)
⑥出来ないこと
信託の目的に反する使い方
⑦かかる費用(財産額5,000万円の例)
・設計、コンサルティング費用:50万円
・信託契約書作成:15万円
・信託する不動産登記:10万円
→基本的に初期費用のみで75万円
財産管理方法
・「代わりに契約行為をしてくれる人」を決めれば財産凍結は防げる
・成年後見と家族信託(民事信託)の2つの方法がある
・成年後見は第三者が財産管理を行うもの
・一方家族信託は信頼できる家族に財産管理を託すもの
家族信託の活用方法
「信頼できる家族」が財産管理や契約行為を行うという「家族信託」に関して活用方法をご紹介します。
事例①
・母は八潮市の老人ホームに入所している
・実家は現在空き家
・最近物忘れが多くなってきた
・娘夫婦は都内で家を買って暮らしている
娘たちには迷惑をかけたくないから、私が元気なうちに家のことは娘に任せたいわ。
固定資産税も高いし、老人ホームの費用もこれからまだ掛かりそうなので家は売ってほしい。
念願のマイホームも買ったし、将来実家に住むことはないかな…
今の生活でいっぱいいっぱいだし、母の介護費用を負担するのは正直大変…
家族信託による解決方法
結果…
・家を売る権利を娘に託しておくことで将来的に家を売ることができる
・母が認知症になっても家を売る権利は娘にあるので、家を売って介護費用にできた
事例②
賃貸オーナー様のケースをご紹介します。
・最近、自分も妻も体調がすぐれない
・本人、妻、長男夫婦と孫は同居
・財産は自宅とアパート、預貯金
・妻は現在在宅介護、今後は施設へ
・アパートは駅近だが古く空室が目立つ
・入退去に伴う修繕等の管理ができない
私が認知症になった場合、アパートの管理や売却の判断は息子に任せよう。
息子が万が一私より先に死亡した場合は、将来的に家を継ぐ予定の孫に任せたい。
アパートは古くなってきたのでm将来的にはもっと収益性のある賃貸に建て替えたい。
アパートの管理や両親の介護費用のことを今から対策しておかないと!
家族信託による解決方法
結果…
・アパートと預貯金を息子に信託
・父が認知症になったとしても財産管理は息子ができる
・信託財産で介護費用をまかなうことができる
・より収益性のある店舗や共同住宅への建て替え等で有効活用の幅が広がる
事例③
・父はアパート経営で生計をたてている
・長男は浪費家で最近は疎遠で連絡はほとんどない
・近くに住む長女はしっかり者で両親のことを気にかけている
父
年も取ってきたし、アパートの管理が厳しいな…
長男は浪費家だから管理は長女に任せたい。
家賃収入は私から母さんの順で最後は娘にあげたい。
長女
最近お父さんの体調が心配…
私が代わりにアパートの管理をできるようにして安心して生活してほしいな。
長男
あ~今日もパチンコで負けたわ。
いずれかはアパートは俺のものになるんだから、金に困ったら売ってしまおう。
家族信託によう解決方法
結果…
・アパートの管理は長女が行い、父にアパートによる収益を渡す
・父が亡くなっても長女がアパート管理を行い、母に収益を渡す
・長女のような「信頼できる家族」に不動産管理を任せることができる
・財産の引継ぎ先を2代先以降も指定できる
→遺言では1代先までしか指定できない!!
事例④
通常の売買で不動産を個人から法人に移した場合
・登録免許税が高額
・不動産取得税が発生
民亊信託を活用した節税
民事信託を利用して不動産を受益権化し、個人から法人に移した場合…
・登録免許税が低額(売買の5分の1)
・不動産取得税が発生しない
家族信託のメリット
①認知症になっても口座凍結しない
②認知症になっても不動産が売れる
③遺言書の役割+遺言書を上回る機能もある
家族信託はあなたに必要?
☑ 認知症の不安がある
☑ 認知症、相続直後の預貯金の凍結を防ぎたい
☑ 預貯金を将来的に、自分のためでなう家族のために使いたい
☑ ご両親と息子、娘世帯が別で将来実家に戻ってこないかもしれない
☑ 施設等に入所した後も、安心して管理や売却ができるようにしたい
☑ お世話になっている人(家族)に資産の管理を任せて将来渡したい
一つでも当てはまっているあなた!!
今のうちから対策をしておいたほうがいいかもしれません!!
その方法を解決できるのが「家族信託」です。
相続・認知症対策のタイミング
「うちもそろそろ相続・認知症対策が必要なときなのかな…」
そう思った時が、まさにタイミングです!
今や認知症は他人事ではなく、誰しもに起こりうることです。
なってからでは対策は限られてしまいます。
まずはご相談に乗らせてください!!
ハルにできること
・ご家庭の状況に応じて、お悩みや疑問にお答えします
・生前対策が必要だと思われる方にはヒアリング内容をもとに「生前対策のご提案書」を作成します
(費用はかかりません)
・相続税が必要かどうかのアドバンスをします
★家族がずっと仲良くいられるように…★
遺産の分け方、財産の管理や売却は認知症になってからでは遅いのです!
家族の幸せのために、早めに話し合いをしましょう!